初めてお祭りに参加する人にとって、着方がさっぱり分からないのが、股引ではないでしょうか。股引の読み方は「ももひき」や「またびき」です。
私自身も股引を初めて見たときは戸惑いました。今までに見たことのない形の衣類。どっちが前で、どっちが後ろかも、どうやって履いたらいいのかも、全く分かりませんでした。実際、私が初めて股引を履いた時は、前と後ろを逆にして履いてしまったなんていう苦い思い出もあります。
この記事では初めて股引を履く人のために股引の正しい履き方について動画や写真で分かりやすく解説しています。
この記事を最後まで読んでいただくとこんなことが分かります。
- 股引の正しい履き方
- 股引の正しい向き
- 股引を粋に履きこなすポイント
目次
股引の履き方を動画で解説
動画で股引の履き方を詳しく解説していますので、まずは動画をご覧ください。粋に履きこなすためのポイントについても動画内で解説しています。
股引とは?
股引の特徴
股引とはお祭りに参加する人が履くズボンのことです。左右に紐がついていて、お尻の部分が割れているのが特徴です。脚にぴったり合うようにピチピチに履くのが正しいサイズ感です。
形がよく似ているお祭り衣装にダボ股引もあります。ダボ股引は股引と違い、ダボっとゆとりをもって履くのが正しいサイズ感です。股引とダボズボンは形状が似ているので、間違って購入してしまう人も多いのですが、まったく異なるお祭り衣装になるので注意が必要です。
ダボ股引の履き方については別の記事で詳しく解説しています。股引ではなくダボ股引の履き方を知りたい人はぜひ関連記事をご覧ください。
股引の読み方
股引の読み方は、ももひき、またびき、またひきです。地方によって読み方が異なるのですが、どれも正しい読み方になります。
股引は別名でパッチ、猿股(さるまた)、木俣(きまた)などとも呼ばれたりします。
股引の歴史
股引とは室町時代から武士や町人、農民などが着用していたズボンのことです。昔の日本人はみんな着物を着ていたのですが、着物の下はふんどしを履いているだけでした。馬に乗ったりすると着物がはだけてしまい、ふんどしが丸見えになってしまいます。そこで登場したのが股引と言われています。
戦国時代では武士が戦の時に着用していました。また、江戸時代に入ると大工さんなどの職人さんが作業着として着用したり、農民が農作業用に着用していました。特に粋を重んじる火消衆が好んで着用していました。お祭りは粋を追求する文化なので、江戸時代から粋とされていた股引を現在でも祭り衣装として使用しています。
股引の丈の長さはくるぶしくらいまであるので履いた状態では長ズボンのような見た目をしています。お祭り衣装には半股引(はんだこ)と呼ばれる半ズボンタイプの股引もあります。
半股引の履き方については別の記事で詳しく解説しています。股引ではなく、半股引の履き方を知りたい人は、ぜひ関連記事をご覧ください。
股引の正しい向きは?前後の見分け方
股引の履き方を解説する前に、まず股引の正しい向きについて解説します。股引は前後を逆にしても履けてしまうので、意外と間違った向きで履いている人も多いです。お祭りで恥をかかないためにも、正しい向きを覚えてくださいね。
股引の前側
下の写真が股引の前側を正面にして持った状態です。前側とは股引を履いた時に、股間側になるという意味です。左右の生地がつながっていて、自分から見て右手側に長い腰紐があります。左手側には短い腰紐があります。
また、股引の前側にはメーカータグが付いているものが多いです。前後がよく分からない時は、タグが付いている方が前側と覚えてください。
股引の後ろ側
下の写真が股引の後ろ側を正面にして持った状態です。後ろ側とは股引を履いた時にお尻側になるという意味です。左右の生地が分かれている方が後ろ側です。
股引の前後の見分け方については、別の記事で詳しく解説しています。どっちが前で、どっちが後ろなのか詳細を知りたい人は、ぜひ関連記事をご覧ください。
股引が正しく履けている状態とは?
股引は正しく粋に履きこなすのが難しいお祭り衣装です。下の写真が股引を正しく履けている状態です。
正しいサイズ感
まずサイズ感ですが、股引はピチピチに履くのが粋です。脚にぴったり生地がくっついている状態が正しいです。ちょっときついくらいが正解です。脚の周りの生地がダボついている場合は股引のサイズが大きいので、もっと小さいサイズを選んでください。
股間部分の生地もたるみがなく、股間にちょっと食い込んでいるくらいが正しいサイズ感です。また、お尻周りも生地のダボつきがなく、ぴたっとお尻に生地がくっついているのが正しいです。
ウエスト部分は腰紐で縛ってとめるので、お腹がぽっこり出ている人でもサイズを気にせずに履けるのが股引のいいところです。
股引の正しいサイズの選び方については別の記事で詳しく解説しています。サイズ選びが分からない人は、ぜひ関連記事をご覧ください。
正しい丈の長さ
股引の丈はちょっと短めがちょうどいいサイズです。くるぶしが見えるくらいの丈の長さがちょうどいいサイズです。普段履いているズボンのように、地面すれすれの丈の長さで股引を履くと、見た目が野暮ったくなってしまいますので、注意しましょう。
股引の履き方の手順
- 股引の前側が正面になるようにして持ちます
- 股引に両脚を通します
- 鯉口シャツのすそを股引の中に入れます
- 股引のまた部分が股間に食い込むように、股引を上に強く引っぱります
- 自分から見て右手側にある生地でお尻を包みながら、右手側の腰紐(長い方の紐)を体の左側に持っていきます
- 股間部分にある穴に右手を突っ込んで、股引の上から手を出します
- 股間部分の穴から出した右手で、長い方の腰紐をつかみます
- 腰紐をつかんだ右手を股間の穴から抜きます
- 自分から見て左手側にある生地でお尻を包みながら、左手側の腰紐(短い方の腰紐)を体の右側に持っていきます
- 股間部分の生地がダボつかないように、股間部分の生地を前側からお尻側に向けて何度か引っぱります
- 左右の腰紐を自分から見て右の脇腹の前で蝶々結びします(腰紐が短くて蝶々結びできない時はコマ結びでも大丈夫です)
- 最後に形を整えて完成です
股引は履くのも難しいですが、脱ぐのも難しいお祭り衣装です。ピチピチのサイズ感で履くので、脱ぐのがとっても大変です。股引を簡単に脱ぐ方法については別の記事で詳しく解説しています。正しい脱ぎ方を知りたい人は、ぜひ関連記事をご覧ください。
股引を粋に履きこなすポイント
股引は履くだけでも難しいですが、粋に履きこなすのはもっと難しいです。股引を粋に履くためのポイントをご紹介します。
鯉口シャツのすそは股引の中に入れる
お祭りに参加している人を見ると、鯉口シャツのすそを股引から出して着ている人をよく見かけます。
でもこれは間違った着方です。見た目がとっても野暮ったくなってしまいますので鯉口シャツのすそは必ず股引の中に入れるようにしましょう。
股間とお尻の生地はぴたっと合わせる
股間部分とお尻部分の生地がたるんでいると、座ったり動いたりした時に下着が見えてしまうだけでなく、見た目がとっても野暮ったくなってしまいます。股間部分の生地はたるみをなくし、お尻部分の生地はちゃんとお尻を包み込む状態になるように着こなしてください。
股間部分の生地がダボついている場合は、股引の履き方の手順で解説した❿の工程がうまくできていないです。きちんと股間部分の生地を股間側からお尻側に引っぱるようにしましょう。
また、お尻部分の生地がダボついている場合は、股引の履き方の手順で解説した❺と❾の工程がうまくできていないです。左右の生地でお尻をきちんと包むこむようにしましょう。
股引の丈はくるぶしが見える長さ
股引の丈の長さはちょっと短めが粋です。くるぶしが見えるくらいの丈の長さがちょうどいいです。
股引のすそがかかとあたりまできている場合は、股引の履き方の手順で解説した❹の工程がうまくできていないです。股間に生地が食い込んで痛いくらい股引を引っぱり上げてください。または、そもそも股引のサイズが大きすぎる可能性もあります。股引を上に強く引っぱっても、すそがかかとあたりまである場合は、もっと小さいサイズを履くようにしてください。
粋に履きこなすための履き方については別の記事で詳しく解説しています。周りの人から粋にお祭り衣装を着こなしてるなって思われたい人は、ぜひ関連記事をご覧ください。
股引の履き方リーフレット
股引の正しい履き方を新しく入った新人に伝えたいという人のために、股引の履き方リーフレットを配布しています。無料でダウンロードできますので、印刷して、周りのお祭り参加者に配ってあげてください。
股引を売っているお店
店舗で購入
お祭りで使用する股引は祭り用品専門店の祭すみたやで購入することができます。種類やサイズを豊富に取り揃えています。店舗でしたら、実際に試着してぴったりのサイズの股引を選ぶことができます。股引の選び方や着方が分からない方には祭すみたやのスタッフが分かりやすく説明させていただきます。
祭すみたや 助信駅前店
〒430-0911 静岡県浜松市中央区新津町14-1
電話 053-489-3398
メール info@sumitaya.co.jp
ネット通販で購入
股引は祭すみたやのネットショップでも購入することができます。近所にお祭り用品店が無い方や忙しくてお店に行くことができない方は、ぜひ祭すみたやのネットショップをご利用ください。日本全国はもちろん、世界中に股引を配送可能です。