お祭りに参加する時に着る定番のお祭り衣装といえば、法被や半纏です。法被の読み方は「はっぴ」で、半纏の読み方は「はんてん」です。
お祭りに参加している人たちが着ている法被のことを印半纏と呼びます。印半纏の読み方は「しるしばんてん」です。町会や神輿会などの団体の名前や大紋(背中のマーク)が入った法被のことで、同じ団体に所属している人たちがおそろいのものを着ます。
法被と半纏は何が違うの?って疑問に思っている人も多いと思いますので、補足しておきますね。もともとは用途が違った法被と半纏ですが、江戸時代ごろから法被と半纏は同じ意味で使用されるようになってきました。ですので、この記事では法被も半纏も同じ意味で使用しています。
この記事ではお祭りに参加する時に着る法被・半纏のサイズの選び方について分かりやすく解説しています。初めて法被・半纏を購入する人がどのサイズを選べばいいのかについて説明します。
この記事を最後まで読んでいただくと、こんなことが分かります。
- 法被・半纏のサイズ表記
- 法被・半纏の正しいサイズ感
- 法被・半纏の正しいサイズの選び方
この記事では大人用サイズの法被・半纏のサイズの選び方について解説しています。子供用サイズの選び方については別の記事で詳しく解説しています。子供用サイズの法被・半纏の購入を検討中の方は、ぜひ関連記事をご覧ください。
目次
法被のサイズの選び方を動画で解説
法被や半纏のサイズの選び方について動画で分かりやすく解説しています。まずは動画をぜひご覧ください。
法被のサイズ表記
町会や神輿会などの法被や半纏を購入する時は、お祭りが近くなってくると回覧板などで購入申込書が届くと思います。その購入申込書を見てみると、聞きなれないサイズの名前でサイズ表記されていたりします。
ある団体ではS・M・Lサイズとなっていたり、小・中・大サイズとなっていたりします。これならまだ何となくイメージできるかもしれませんが、団体によっては本裁大や本裁となっていたり、90cm・95cm・100cmとサイズが表示されていたりします。どのくらいの大きさの法被・半纏なのか、さっぱり見当がつかない人も多いと思います。
というわけで、まずは法被・半纏のサイズ表記について解説してみたいと思います。
法被のサイズには統一規格がない
普段みなさんが着ている洋服ですと、JIS規格といって、国内で統一されたサイズ規格というものがあります。なので、Aというお店でMサイズの洋服を買っても、Bというお店でMサイズの洋服を買っても、だいたいサイズ感は同じです。
これに対し、法被や半纏には統一されたサイズ規格がありません。なので、お店や団体によってサイズ表記はバラバラです。あるお店や団体ではS・M・Lサイズと表示していたり、あるお店や団体では90cm・95cmと表示していたりと、本当にバラバラです。
さらにややこしいのが、同じサイズ表記をしているお店や団体であっても、そのサイズの法被や半纏が同じ大きさとは限りません。たとえばCという祭り用品店がMサイズと表記していて、Dという祭り用品店も同じくMサイズと表記していても、実際の法被・半纏の大きさは全く違うということがよくあります。また、今までお祭りに参加していた町会の法被がMサイズで、引っ越した先の町会の法被のサイズもMサイズと表記されていたとしても、実際の法被が同じサイズとは限りません。
なぜこのようにサイズがバラバラになっているのかと言いますと、統一されたサイズ規格が存在していないので、お店や団体ごとに勝手にサイズ表記を決めているからなんです。
なので、法被や半纏のサイズ選びの時にサイズ表記は全く参考にならないので注意が必要です。特に、今まで法被を注文していたお店がMサイズだったから、新しいお店でもMサイズを注文すればいいや~と思っていると、実際に納品されてみたら全然大きさが違った・・・なんてことがよくあるのでご注意ください。
法被の身巾と身丈を基準にする
統一されたサイズの規格がないなら、どうやって法被や半纏のサイズを比べたらいいの?って疑問に思う人も多いと思います。
そこで登場する寸法が法被・半纏の身巾(身幅と表記することもあります)と身丈です。身巾(身幅)の読み方は「みはば」で、身丈の読み方は「みたけ」です。
身巾(みはば)とは法被や半纏を平らな場所に置いた時の胴体部分の右端から左端までの長さです。通常66cmなどのようにcm単位で表記されます。胴体の周囲の長さではありませんのでご注意ください。
身丈(みたけ)とは法被や半纏を平らな場所に置いた時のえりの付け根からすそまでの長さです。通常100cmなどのようにcm単位で表記されます。えりの一番上からの長さではありませんのでご注意ください。
法被や半纏はデザインを生地に染めた後、型紙を使って裁断して、ミシンで縫製して制作します。この法被・半纏を裁断、縫製する時の基準となる寸法が身巾と身丈になります。
実は身巾と身丈の他にも、法被・半纏を裁断、縫製する時の基準となる寸法には、ゆきや袖付などいろいろあります。
身巾(みはば) | 胴体部分の右端から左端までの長さ |
身丈(みたけ) | えりの付け根からすそまでの長さ |
ゆき | 法被の中心から袖(そで)の先端までの長さ |
袖付(そでつけ) | 胴体部分と袖がくっついている部分の肩から脇までの長さ |
袖巾(そではば) | 胴体部分と袖がくっついている部分から袖の先端までの長さ |
袖口(そでぐち) | 袖の出口の上から下までの長さ |
※ すべて法被・半纏を平らな場所に置いた時の実寸値(cm単位)になります。周囲の長さではありませんのでご注意ください。
職人さんはいろいろな場所の寸法を基準にして法被や半纏を作るのですが、サイズを選びの時に全ての寸法を気にしていたのでは、逆に分かりにくくなってしまいます。ですので、サイズ選びの時に参考にする寸法は身巾と身丈のみを気にすれば大丈夫です。
ほとんどの祭り用品店では、法被や半纏のサイズ表記と一緒に身巾と身丈を記載しています。カタログやネットショップの法被の掲載ページを見ると、身巾と身丈の寸法が確認できると思います。
ただし、町会や神輿会の団体が配る法被の注文用紙に身巾や身丈を記載しても、どこの寸法なのか分からず混乱してしまう人が多いため、あえて身巾や身丈を記載していない場合が多いです。その代わりに、注文が取りやすいSサイズやMサイズなどの独自のサイズを記載しています。そのため、お店や団体によってサイズ表記がバラバラになってしまっているというわけです。
法被の正しいサイズ感
どのくらいのサイズ感で法被や半纏を着ると、正しい状態なのかについて解説します。
下の写真が正しいサイズ感で法被を着ている状態です。
正しいサイズ感のポイントについて解説していきますが、その前に大前提があります。
それは、法被・半纏はだいたいの大まかなサイズ感で大丈夫ということです。
法被や半纏はぴったりのサイズ感で絶対に着ないといけない!という衣装ではありません。そもそもワンサイズしかない町会や神輿会などもあります。ですので、絶対これが正しいというサイズ感はありませんのでご安心ください。だいたいで大丈夫です。
袖の長さは八分袖
まず袖(そで)の長さですが、手や手首が隠れてしまうくらい長いと見た目が格好悪いです。八分から九分くらいのちょっと短めの袖がちょうどいい長さです。
また、袖があまり短すぎても見た目が格好悪いです。特に中に着ている鯉口シャツが見えてしまうようですと袖が短すぎますので、ご注意ください。
法被や半纏の袖は手首の骨の出っ張り部分が見えて、鯉口シャツの袖が出ないくらいがちょうどいい長さです。
幅はえりの重ね具合で調整可能
法被や半纏の胴体部分の幅はえりの重ね具合で自分に合ったサイズに調整可能です。
体が太い人はえりがあまり重ならないですし、細い人は多くえりが重なります。体の側面に法被がぴたっとくっつくように、えりの重ね具合を調整してください。ただし、重ねたえりの端が背中側まできてしまうようですと、法被のサイズが大きすぎますのでご注意ください。
丈の長さはお祭りによって違う
法被や半纏の丈の長さについては、これが正解というサイズ感がありません。なぜなら参加するお祭りによって丈の長さが違うからです。
お尻を包み隠すぐらい丈の長い法被を着るお祭りもありますし、お尻が見えるくらい短い丈の法被を着るお祭りもあります。
一般的には木遣りの人やお神輿を担ぐお祭りでも役員さんは長い丈の法被や半纏を着ることが多いです。また、山車や屋台の上に乗って激しく動いたり、町内中を走り回ることが多いお祭りでは、お尻周りに法被の生地があると邪魔なので、短い丈の法被や半纏を着ることが多いです。
法被や半纏の丈の正しいサイズ感については参加されるお祭りの主催者や役員さんに確認するようにしてください。
法被のサイズの選び方
法被や半纏のサイズはサイズ表記に関する項目でも解説した通り、法被・半纏の身巾と身丈を基準にして選びます。どのようにして身巾と身丈から自分に合ったサイズを選べばいいのかについて解説します。町会や神輿会などの団体のオリジナルの法被・半纏と既製品の法被・半纏でサイズの選び方が異なりますので、それぞれのサイズの選び方について説明します。
町会・神輿会の法被のサイズの選び方
町会や神輿会などの団体のオリジナル法被のことを印半纏といいます。
印半纏のえりには町会や神輿会などの名前が入っています。また背中には大紋と呼ばれる会のマークが入っています。おなじ団体に所属している人たちみんなでおそろいの印半纏を着きます。
町会や神輿会などの団体にもよりますが、印半纏にはサイズ展開がほとんどない場合が多いです。
ワンサイズしかない団体もありますので、その場合は、サイズの選択肢がありません。決められたサイズを選んでください。
サイズが何種類かあったとしても、2~3サイズしかないことが多いです。サイズは身丈の長さが数パターンある団体や、身巾が男性用と女性用に分かれている団体が多いようです。
対象 | 身巾 | 身丈 |
一般成人女性 | 60cm前後 | 団体により異なります |
一般成人男性 | 65cm前後 | 団体により異なります |
身丈は参加するお祭りによって長さが異なりますので、どの長さの身丈を選べばいいかについては団体の役員さんに確認してください。
また、身巾は60cm前後のサイズが女性や細身の人向け、65cm前後のサイズが男性や中肉中背の人向けになります。
印半纏を新たに作りたい人のためにオリジナル法被や半纏の作り方について別の記事で詳しく解説しています。町会や神輿会の法被担当の方はぜひ関連記事をご覧ください。
既製品の法被のサイズの選び方
町会や神輿会などの団体でおそろいの法被や半纏がない場合は、既製品の市販されている法被・半纏を購入します。
市販されている既製品の法被のえりには睦や若連、御祭禮などお祭りに関する文字が書かれています。また、背中には睦や祭といった文字が入っているものが多いです。
お祭りでよく見かける睦という文字。これってどういう意味なのって疑問に思っている人も多いと思います。睦の読み方は「むつみ」です。町内やご近所さん、みんな仲むつまじくっていう意味があるんですよ。「仲むつまじく」を漢字で書くと「仲睦まじく」になります。この睦がお祭りによく登場するんですね。お祭りは昔から人と人との交流の場だったんですね。
市販されている既製品の法被ですが、お店やネットショップには必ず身巾と身丈の記載があります。記載がない場合は、お店の人に聞けば答えてくれます。身巾と身丈の寸法を参考にして、自分の体型と用途にあったサイズを選んでください。
丈の短いタイプの法被のサイズ
よく動きまわるお祭りに参加する場合は丈の短い法被や半纏をおすすめします。丈が短いタイプの法被・半纏の参考サイズ表をご紹介します。
対象身長 | 体型 | 身巾 | 身丈 |
140cm~160cm | 一般成人女性 | 60cm前後 | 75cm前後 |
160cm~180m | 一般成人男性 | 65cm前後 | 80cm前後 |
※ 商品によってはワンサイズしかないものや、サイズ表と異なるサイズのものがあります。だいたいの目安としてご参考ください。
丈が長いタイプの法被のサイズ
一般的なお祭りに参加する場合や、ブラブラお祭り会場を歩くだけといった人には丈の長い法被や半纏をおすすめします。丈が長いタイプの法被・半纏の参考サイズ表をご紹介します。
対象身長 | 体型 | 身巾 | 身丈 |
140cm~150cm | 一般成人女性 | 60cm前後 | 85cm前後 |
150cm~165m | 一般成人女性 | 60cm前後 | 90cm前後 |
150cm~165cm | 一般成人男性 | 65cm前後 | 90cm |
165cm~175cm | 一般成人男性 | 65cm前後 | 95cm前後 |
175cm~185cm | 一般成人男性 | 65cm前後 | 100cm前後 |
※ 商品によってはワンサイズしかないものや、サイズ表と異なるサイズのものがあります。だいたいの目安としてご参考ください。
サイズ選びに迷ったら大き目を買う
法被や半纏はサイズの種類が豊富ではない衣類なので、自分にちょうどいいサイズが無い場合もあります。そんな時は大き目を買った方がいいのか、小さ目を買った方がいいのか、迷うことがあるかと思います。
法被のサイズ選びに困った時は、迷わず大き目のサイズを選ぶようにしてください。
法被・半纏は綿素材でできていますので、洗濯するとかなり縮みます。例えば、身丈が90cmの法被の場合、洗濯すると85cm~87cmくらいに縮んでしまいます。
また、法被・半纏は購入後にサイズのお直しをすることが可能です。大きい法被を小さくすることは簡単にできますが、小さい法被を大きくするのは限度があります。
以上の理由から、法被はサイズに迷ったら大き目のサイズを選ぶのが正解なのです。
ちなみに、法被・半纏のサイズのお直し方法については別の記事で詳しく解説しています。サイズが合っていない法被・半纏のサイズ変更を希望する方はぜひ関連記事をご覧ください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
法被や半纏のサイズを選ぶ時の参考になりましたでしょうか?
いかに法被や半纏のサイズがアバウトで、おおまかなサイズ感で大丈夫だということが分かったかと思います。あまり神経質にならず、だいたいの大きさで法被を選んでください。
法被や半纏には統一された規格がないです。なので、お店や団体ごとにサイズ表記がバラバラです。そこで、サイズを比較するのに使える基準が身巾と身丈になります。身巾と身丈の寸法を参考にして、法被や半纏のサイズを選んでください。そもそもワンサイズしかない法被・半纏も多いです。また、自分の体型に合ったサイズがない場合も多いです。サイズが合わない時は、購入後に祭り用品専門店でサイズのお直しが可能ですので、サイズ選びに迷ったら大き目のサイズを選ぶことをおすすめします。
この記事があなたの法被・半纏のサイズ選びの参考になれば幸いです。
法被が買えるお店
店舗で購入
お祭りで使用する法被は祭り用品専門店の祭すみたやで購入することができます。既製品の法被はもちろん、祭すみたやでは1着からオリジナルの法被をオーダーメイドで制作することが可能です。法被のデザインや生地の種類について細かくご相談にのらせていただきますので、お気軽にご来店ください。
祭すみたや 助信駅前店
〒430-0911 静岡県浜松市中央区新津町14-1
電話:053-489-3398
メール:info@sumitaya.co.jp
※ 遠州鉄道 助信駅から徒歩1分
※ 大駐車場完備
ネット通販で購入
既製品の法被はネット通販でも購入することができます。「祭」や「睦」と背中に入った法被など、種類を豊富に取り揃えています。また、赤ちゃん用サイズから大人用サイズまで豊富にサイズも取り揃えています。お気に入りの法被を探してください。ネット通販なら日本全国に法被を配送させていただきます。ぜひお気軽にご利用ください。またネット通販でもオリジナルのオーダーメイド法被を注文することができます。遠方でお店に行くことができない人でも電話やメールでデザインなどの打ち合わせができます。
法被に関する記事
この記事の他にも法被や半纏に関する記事をいろいろご用意しています。オーダーメイド法被の作り方に関する記事もありますので、オリジナル法被を作りたい人はぜひご覧ください。