初めてお祭りに参加する人のためのお祭り用品の用語辞典です。
「腹掛と股引を着てきて!」とか「すり鉦を買ってきて!」って言われても、お祭り初心者さんはどんな用品なのか分からないですよね。お祭りでよく耳にするお祭り用品の用語を写真付きで分かりやすく解説しています。
お祭り用品は地方によって呼び名が異なるため、別名についても記載しています。
あ行
岡足袋
読み方 | おかたび |
別名 | 足袋 |
解説 | 岡足袋とはお祭りで雪駄を履く時に使用する靴下のような下着です。コハゼと呼ばれる金具で足首部分を固定します。お祭りで雪駄を履く時は、素足のまま履くのではなく、必ず岡足袋を履きます。着物を着る時に使用する足袋と同じものです。お座敷の上を歩く時にも使用されます。 |
か行
脚絆
読み方 | きゃはん |
別名 | 江戸脚絆、脚半、ゲートル |
解説 | 脚絆とは脚のすねに巻いて皮膚を保護する布製のプロテクターです。お祭りで使用する脚絆は江戸脚絆と呼ばれています。消防や建設現場で使用される西洋脚絆とは異なりますので注意してください。江戸脚絆は江戸時代の飛脚や大工さんが、すねをすり傷や打撲などの怪我から守るために使用していたのが由来です。半股引や締め込み褌など素足を出すお祭り衣装を着ている時に脚絆を使用します。脚絆は布にコハゼと呼ばれる金具と紐が付いていて、布をすねに巻いた後、コハゼと紐で固定して使用します。現在のお祭りではすねを守る必要はほとんどないので、お祭りのファッションアイテムとして使用されています。 |
鯉口シャツ
読み方 | こいくちしゃつ |
別名 | 肉襦袢(にくじゅばん)、肌襦袢(はだじゅばん)、ダボシャツ |
解説 | 鯉口シャツとはお祭りに参加する時に着るシャツです。シャツの袖口が魚の鯉の口のようにすぼまっていることから鯉口シャツと名づけられました。鯉口シャツの歴史は浅く、広く使われるようになったのは昭和の中期ごろからです。鯉口シャツはピチピチに着るのが粋とされています。ダボっと着るダボシャツもあります。地方によっては鯉口シャツのことをダボシャツと呼ぶところもあるので注意が必要です。 |
さ行
地下足袋
読み方 | じかたび |
解説 | 地下足袋とはゴム底の付いた足袋のことで、そのまま外で履くことができる履物です。明治時代になって、ゴムが普及してきた時、お座敷用の足袋の底にゴムを貼り付けて外を歩いたことが地下足袋の由来です。足首部分はコハゼと呼ばれる金具で固定するので激しい運動をしても脱げにくいです。また、親指部分が他の指と別れており、踏ん張りが効くため、林業や農業などお祭り以外の作業用の履物としても利用されています。最近では、スニーカーのようなクッションが足袋底に入った機能性の高い地下足袋も増えています。 |
撞木
読み方 | しゅもく |
別名 | 鐘木(しゅもく)、しもく |
解説 | 撞木とはお囃子や和太鼓の演奏で使用される和楽器の「すり鉦」を叩くためのバチです。棒の先には鹿の角が付いています。この鹿の角をすり鉦に当てることで音を出します。 |
新毛斯
読み方 | しんもす |
別名 | 毛斯、Aモス、モスリン |
解説 | 新毛斯とは無地の綿製の反物生地のことで、着物の裏地として主に使用されます。お祭りでは神社の柱を装飾する柱巻として使用されたり、六尺褌やねじり鉢巻きなどの祭り小物として使用されたりします。生地の厚みは薄手なので、鯉口シャツや股引に使用するのには向いていません。晒(さらし)と混同されている人もいますが、晒(さらし)とは生成りの生地を白色にさらした生地のことで、赤色や黄色の晒(さらし)というものはありません。色の付いている薄手の反物生地は晒ではなく新毛斯と呼ばれます。新毛斯の幅は約35cm~38cmくらいの小幅で、長さは1疋(約21m)あります。ちなみに疋(ひき)とは反物生地を数える単位で、1疋(いっぴき)は約21mです。1疋は2反分の長さになります。1反(いったん)の長さは約10m~12mです。 |
摺鉦
読み方 | すりがね |
別名 | 当たり鉦(あたりがね)、擦鉦(すりがね)、鉦吾(しょうご)、四助(よすけ)、チャンチキ、コンチキ、チャンギリ |
解説 | 摺鉦とはお囃子や和太鼓の演奏で使用される和楽器です。撞木(しもく)と呼ばれるバチのような棒で叩いて音を出します。摺鉦のサイズによって、手で持って使用したり、紐で吊るして使用したります。摺鉦の底面を手で押さえたり、離したりすることで音色を変えることができます。摺鉦の「スリ」はお金を「スル」という言葉を連想し縁起が悪いため、「スル」の代わりに「アタル」を使って当たり鉦と呼ぶ人もいます。 |
雪駄
読み方 | せった |
解説 | 雪駄とはサンダルのような形をした履物です。雪駄は戦国時代に茶道の千利休が草鞋の底に牛革を貼って履いたことが由来となっています。お祭りで雪駄を履く時は素足で履きません。必ず岡足袋と呼ばれる雪駄専用の足袋を履いてから雪駄を履きます。雪駄はかかとを出して履くのが正しいサイズ感です。また、雪駄を履いて歩く時は、雪駄の底を地面にこするようにしながら歩くのが正しいやり方です。 |
た行
ダボシャツ
読み方 | だぼしゃつ |
別名 | ダボ |
解説 | ダボシャツとはお祭りで的屋さんがよく着ているダボっとしたシャツです。ダボ股引やダボゴムズボンに合わせて着用します。見た目が涼しげなので、夏のお祭りでよく使用されます。形がよく似ている鯉口シャツと間違われることが多いですが、鯉口シャツはピチピチに着るのに対して、ダボシャツはダボっと大き目のサイズ感で着ます。 |
ダボズボン
読み方 | だぼずぼん |
別名 | ダボ |
解説 | ダボズボンとはダボシャツに合わせて着るズボンです。ウエスト部分がゴムになっているので、簡単に履くことができます。お腹の部分にはポケットが付いています。ダボズボンはその名の通り、ダボっと大き目のサイズ感で履くのが粋な履き方です。見た目が涼しげなので、夏のお祭りでよく使用されます。 |
ダボ股引
読み方 | だぼももひき |
別名 | ダボ |
解説 | ダボ股引とはダボシャツに合わせて着るズボンです。ダボ股引の形は普通の股引と同じように股部分が割れています。股引はピチピチに着るのが粋ですが、ダボ股引はその名の通り、ダボっと大き目のサイズ感で着るのが格好いいです。通常はダボシャツと同じ色のダボ股引を履きます。 |
血止め
読み方 | ちどめ |
解説 | 血止めとはヒザの下に巻く装飾用のお祭り用品です。もともとは江戸時代の飛脚や籠屋の人が、長距離を走っても脚がうっ血しないように、草鞋の藁紐を脚に巻いたのが由来とされています。現在ではお祭りコーディネートのお洒落アイテムとして利用されています。藁素材の血止めだけでなく、箱紐やちりめん丸紐など、いろいろな素材の血止めが販売されています。 |
チャッパ
読み方 | ちゃっぱ |
別名 | 手拍子(てびょうし)、チャンパ、銅拍子(どうびょうし)、土拍子(どびょうし)、手平金(てびらがね)、銅鈸子(どうばつし)、鐃鈸 (にょうはち) |
解説 | チャンパとはお囃子や和太鼓の演奏で使用されるシンバルのような形をした和楽器です。チャンという音やパッという音が出ることからチャンパと呼ばれています。雅楽や田楽、歌舞伎などでも使用される日本古来の楽器です。両手で持って、お互いを叩いて使用します。表面を手で押さえることで音色を変えることができます。 |
作り帯
読み方 | つくりおび |
別名 | ワンタッチ角帯、ワンタッチ平ぐけ帯 |
解説 | 作り帯とは、はじめから結び目の形が作られている簡単に巻くことができる帯です。作り帯についている金具に帯を通すことで簡単に帯を巻くことができます。帯を締めるのが面倒な人や、帯を締めたことがないお祭り初心者におすすめの帯です。幅が8cmくらいある角帯や幅が6cmくらいの平ぐけ帯があります。浴衣用の献上作り帯も法被を着る時に使われます。結び目の形はお祭りで巻く帯の一番基本的な結び方である貝の口結びで作られているのもが多いです。 |
手甲
読み方 | てこう |
別名 | てっこう、コテ |
解説 | 手甲とは手首を傷や打撲から守るための布製のリストバンドのようなお祭り用品です。お神輿の担ぎ棒や屋台・山車などの引き棒に直接手首の肌が触れると、怪我をしてしまうことがあります。手甲を手首に巻いておけば、怪我を予防することができます。コハゼと呼ばれる金具やマジックテープで固定して使用します。幅が短いタイプや長いタイプの手甲があります。 |
な行
ねじり鉢巻き
読み方 | ねじりはちまき |
解説 | ねじるはちまきとは、お祭りに参加する時に頭に巻く装飾品です。生地がねじってあることからねじり鉢巻きと呼ばれています。手ぬぐい1本をねじった鉢巻きや2本の手ぬぐいをねじり絡めた鉢巻きがあります。手ぬぐい1本で作るねじり鉢巻きは、お祭り会場などその場で作ることができます。手ぬぐい2本を使ってねじり絡めるねじり鉢巻きはその場で作ることができないため、事前に制作しておく必要があります。ねじり鉢巻きの両端は角のようにピーンっと立てるのが粋な使い方です。 |
は行
腹掛
読み方 | はらがけ |
別名 | 寸胴(ずんどう)、前掛け、どんぶり、胸当て |
解説 | 腹掛とはエプロンのような形をしたお祭り衣装です。江戸時代の大工さんが金づちなどの道具を入れていたのが由来です。もともと道具入れとして使用されていたので、腹掛にはポケットがたくさん付いています。鯉口シャツや股引と合わせて使用します。 |
半股引
読み方 | はんだこ |
別名 | 半パッチ、キマタ、半もも、半また、猿股 |
解説 | 半股引とは半ズボンタイプの股引です。江戸時代に飛脚の人など長距離を移動する人たちが着ていたのが由来です。半股引の丈は短いので、夏のお祭りでよく使用されます。股部分が割れているので、着方が難しいお祭り衣装の一つです。 |
平ぐけ帯
読み方 | ひらぐけおび |
別名 | 正絹帯、献上帯、博多帯 |
解説 | 平ぐけ帯とは幅が6cmくらいの帯です。平ぐけ帯は幅が細いので、結び目が小さくなります。見た目がスマートな印象になるため、男性だけでなく女性にも人気の帯です。平ぐけ帯の素材や柄はいろいろなものがあります。一本どっこ柄の綿の平ぐけ帯や献上・博多織の正絹の平ぐけ帯がお祭りでは人気です。喧嘩結びや神田結びなど、結び目がお腹側にくる帯の結び方をしたい時は、この平ぐけ帯を使用します。 |
ま行
巻帯
読み方 | まきおび |
別名 | 三尺帯 |
解説 | 巻帯とは法被を着る時に使用する帯です。もともとは手ぬぐいの反物生地を帯の長さ(約3m)に切って、帯の代わりに巻いたのが巻帯のはじまりです。現在では手ぬぐい素材のものだけでなく、楊柳生地の巻帯やポリエステル生地の巻帯などがあります。華やかな柄のものが多いので、特に女性に人気の帯です。巻帯の幅は小幅の反物生地の幅である約36cmです。そのまま使用すると幅が広すぎるので、半分に折って細くしてから巻きます。半分に折るのが面倒なので、はじめから半分に折った幅である約13cmの巻帯もあります。 |
股引
読み方 | ももひき、またびき |
別名 | パッチ、猿股、キマタ |
解説 | 股引とは室町時代から武士や町人が着用していたズボンです。大工さんなどの職人さんが作業着として着用したり、農家の人が農作業用に着用していました。脚にぴたっと引っ付くようにピチピチに着るのが粋な着方です。股部分が割れているので履くのが難しいお祭り用品の一つです。腹掛と合わせて使用します。股引の丈の長さはくるぶしくらいまでの長さがある長ズボンタイプです。半ズボンタイプの半股引(はんだこ)もあります。 |
わ行
草鞋
読み方 | わらじ |
別名 | 鞋 |
解説 | 草鞋とは藁(わら)を編んで作られた日本の伝統的な履物です。歴史的に見てもおそらく日本人がもっとも長い期間、履き続けていた履物です。縄文時代にはすでに草鞋の原型のようなものを履いており、明治時代になって洋靴が普及するまで草鞋は日常的に使用されていました。草鞋の履き方は特殊で、藁ひもを足に巻きつけるようにして履きます。草鞋を履く時に必ず必要になるのが、草鞋掛け足袋です。もともとは藁で作られていましたが、最近は藁が手に入りにくくないってきたのと、耐久性の向上のために、藁の色をしたビニールひもで作られた草鞋が普及してきています。 |
草鞋掛け足袋
読み方 | わらじがけたび |
別名 | 足袋 |
解説 | 草鞋掛け足袋とは草鞋(わらじ)を履く時に使用する専用の足袋です。雪駄を履いたり着物を着たりするときに使用する岡足袋と違い、足の指部分とかかと部分の足袋底が厚い布で補強されています。草鞋の藁紐が食い込む部分や草鞋から足がはみ出る部分が補強されているので、草鞋を履いて歩く時に足が痛くなりにくいです。 |
用語の質問
こちらの用語集に掲載されていないお祭り用品の用語で知りたいものがある時は、下のフォームから質問してください。用語集の掲載の参考にさせていただきます。ぜひご協力ください。